こんにちは。株式会社 CLEAN PLUS ONE(クリーンプラスワン)の小野澤です。
日々、浴室クリーニングや風呂釜洗浄のご相談をいただく中で、「追い焚きってどういう仕組みなんですか?」「最初に出てくるお湯って前の日の残りでしょ?」といった質問をよくいただきます。
実際、追い焚き配管の中に前日のお湯が残っていることや、配管内で菌が増えやすい環境ができていることは、あまり知られていません。
今回は、追い焚き配管の仕組みと衛生リスク、そして私自身が自宅で実際に行っているお湯の沸かし方について、一本の記事にまとめてご紹介したいと思います。
追い焚き機能の基本的な仕組み
まずは、一般的な家庭用の「追い焚き」機能がどう動いているのかを簡単に整理しておきます。
(メーカーや機種によって構造は多少異なりますが、ここでは代表的なイメージです。)
浴槽のお湯を「循環させて」温め直す
追い焚きボタンを押すと、次のような流れでお湯が動きます。
- 浴槽の中にある循環口(丸い吸い込み口・出湯口)から、浴槽内のお湯を吸い込む
- 吸い込まれたお湯が追い焚き配管を通って給湯器(風呂釜)へ送られる
- 給湯器内部の熱交換器でお湯を温め直す
- 温め直されたお湯が再び配管を通って浴槽へ戻ってくる
ポイントは、新しい水道水を足しているのではなく、浴槽のお湯をぐるぐる循環させて再加熱しているということです。
このときに利用されるのが「追い焚き配管」で、ここにお湯が残りやすい構造になっています。
追い焚き配管の中には「前日のお湯」が残っている
浴槽のお湯を抜いても、配管内は空っぽにならない
一日の終わりに浴槽の栓を抜いてお湯を流しても、実は以下の部分には水(お湯)が残ったままです。
- 浴槽と給湯器をつなぐ追い焚き配管の途中部分
- 給湯器内部の熱交換器周辺や通路
配管は完全に水平ではなく、少し勾配がついていたり、内部の構造が複雑だったりするため、どうしてもある程度の残留水が出てしまいます。
この「配管の中に残った水(お湯)」が、翌日最初に動き出す水になる、というイメージです。
前日の残り湯が最初に出てくるって本当?
よくお客様に聞かれるのが、「前の日のお湯が最初に出てくるって聞いたんですが、本当ですか?」という質問です。
厳密な割合や量は機種によって違いますが、イメージとしては、
- 配管内に残っていた古いお湯や水が先頭にいて
- その後ろから、給湯器で温められた新しいお湯が押し出してくる
という流れになるため、最初の数リットル分は「配管に残っていた水」と考えて差し支えありません。
追い焚きをしていなくても配管内に水が溜まるわけで、必ず前日のお風呂が出てきてしまいます。
お湯はりの「最初の水」は何の水なのか
自動お湯はり・追い焚き機能付きの浴槽の場合
最近主流の「自動お湯はり+追い焚き機能付き」の給湯器では、浴槽の循環口から自動でお湯が出てきます。
このときも、
- 最初に追い焚き配管内の残留水が動き出し
- その後ろから、水道水→給湯器→浴槽というルートを通った新しいお湯が続いてくる
という順番で流れてきます。
蛇口(カラン)からお湯はりしている場合
蛇口から直接お湯を出して浴槽にためるタイプの場合は、給湯配管と追い焚き配管が分かれていることが多く、
- 蛇口から出ているのは基本的に新しいお湯
- 追い焚き配管内の残り水は、追い焚きボタンを押したときに動き出す水(※前日のお風呂お湯が溜まっている場合も多い)
というイメージになります。
追い焚き配管の中で「菌」が増えやすい理由
皮脂・垢・入浴剤成分が配管内に流れ込む
浴槽内のお湯には、
- 入浴中に出る皮脂・汗・垢
- シャンプーやボディーソープの成分
- 入浴剤の成分
など、さまざまな物質が溶け込んでいます。
追い焚きを行うと、そうした成分を含んだお湯がそのまま配管の中に吸い込まれ、給湯器へ送られることになります。
配管内は「温かく」「栄養豊富」「水が入れ替わりにくい」環境
追い焚き配管の内側は、菌にとっては非常に居心地の良い環境になりがちです。
- 人の体温に近いぬるい温度帯になりやすい
- 皮脂・垢・石けんカスなど、菌のエサになる成分が豊富
- 浴槽のお湯を抜いても、配管内の水は完全には入れ替わらない
このような条件が揃うと、配管の内側にぬめり(バイオフィルム)ができやすくなり、雑菌が増える原因となります。
配管の状態や水質、使用条件にもよりますが、「追い焚き配管は定期的に掃除が必要な場所」と考えておくのが安心です。
(体調不良や発熱・咳などの症状がある場合は、必ず医療機関に相談してください。ここではあくまで「設備としての衛生管理」のお話にとどめます。)
私が実際に行っている「ひと手間」|最初の残り水を出し切ってから沸かす
ここからは、私自身が自宅のお風呂で実際にやっている運用方法をお伝えします。
すごく大げさなことではなく、ほんの少しのひと手間ですが、配管内の残り水が気になる方には参考になるかもしれません。
① お湯はりボタンを押す
まずはいつも通り、お湯はりのボタンを押します。
このタイミングで、配管内に残っていた前日までの残り水・お湯が動き始めます。
② 最初に出てきたお湯(残留水)を浴槽にためずに「流す」
ここがポイントです。
- 最初のうちは、配管内に残っていた前日のお湯や水が出てきます
- しばらく様子を見て、ある程度出し切ったところで一旦止める or そのまま排水として流してしまう
私の場合は、最初に出てくる分を「残留水を押し出す時間」と割り切って、浴槽にためる目的ではなく一度外へ流してしまうイメージで動かしています。
③ 残り水を出し終わったと判断してから、あらためてお湯をためる
配管内の古いお湯がある程度出きったな、と思えたところで、
- 浴槽の栓を閉める
- フタも閉めて、ここから出てくるお湯=新しく沸かされたお湯をためていく
という流れに切り替えています。
細かい秒数や量までは測っていませんが、「最初の残り水は捨てて、新しいお湯だけでお風呂を作る」という感覚です。慣れれば切り替わったなと、わかります。
もちろん、この方法はあくまで個人的な運用であり、メーカーが公式に推奨する使い方というわけではありません。
給湯器や配管の構造・設置状況によっても事情が変わるため、気になる方は取扱説明書やメーカーの公式案内も必ず確認するようにしてください。
追い焚き配管の清掃が必要なサイン
次のような症状がある場合は、配管内に汚れやバイオフィルムが溜まっている可能性があります。
- お湯を張ったときに独特のニオイ(生臭い・ドブ臭い・薬品臭いなど)がする
- お湯が白く濁ったように見える
- 浴槽の内側や循環金具の周りがザラザラ・ヌルヌルする
- 追い焚きをすると、茶色いカスやワカメ状の汚れが出てくる
こうした症状が見られる場合は、
- 市販の追い焚き配管用洗浄剤を使ってセルフ洗浄を行う
- 使用年数が長い・症状がひどい場合は、専門業者による風呂釜洗浄を検討する
といった対応をおすすめします。
自分でできるセルフケア + プロ洗浄の使い分け
日常的なセルフケアの例
- 毎日:入浴剤の量を守る・シャンプーなどを浴槽内で過度に流さない
- 月1回程度:市販の追い焚き配管用洗浄剤で配管洗浄
- 気になる方は:今回紹介したように、最初の残り水を一度外に出してから本格的にお湯を張るというひと手間を加える
プロに任せた方がいいケース
- 築年数・給湯器の使用年数が10年以上になっている
- 市販洗浄剤を使っても、すぐにニオイ・濁りが戻ってくる
- 茶色いワカメ状の汚れが何度も出てくる
- 高齢のご家族・乳幼児・持病のあるご家族がいて、衛生面をより重視したい
まとめ|追い焚きは「便利」だからこそ、仕組みを知って上手に付き合う
- 追い焚きは、浴槽のお湯を循環させて温め直す仕組みで、配管内には常に水(お湯)が残る
- その残留水が、翌日最初に動き出す「最初の一杯目のお湯」になる
- 配管内には、皮脂・垢・入浴剤の成分などが溜まり、ぬめりや菌が増えやすい
- 月1回程度の洗浄剤+必要に応じてプロ洗浄で、見えない部分をリセットすることが大切
- 私は実際に、「最初の残り水を一度出し切ってから蓋を閉め、新しいお湯だけでお風呂を沸かす」という運用をしています
追い焚き機能はとても便利ですが、仕組みとリスクを知ったうえで、ひと手間と定期的なメンテナンスを加えてあげると、より安心して使い続けることができます。
「うちのお風呂の追い焚き配管、ちょっと心配だな…」と感じることがあれば、風呂釜洗浄や浴室クリーニングのご相談もお気軽にどうぞ。
現場で培った知識と経験をもとに、最適な方法をご案内いたします。



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